光通信ネットワークにおいて、波長スペクトル資源を有効的に利用可能な弾力性のある光ネットワーク(EON: Elastic optical network)の実現が求められています。大木研究室では、EONにおいて波長スペクトル資源を有効的に利用する光ネットワーク制御,光信号処理の基盤技術の確立を目指しています。
EONでは、動的な光パスの設定・解除により、使用可能な波長スペクトル資源が未整列・非連続となる波長スペクトルの分断(フラグメンテーション)が生じる問題があります。経路変更などにより通信中の光パスを瞬断することなく、波長スペクトルの分断の発生を抑制する技術の検討を行っています。また,波長あたりのデータ伝送容量を超えるトラヒック要求や変動に対応可能なように、数理的・機械学習のアプローチを用いて、弾力的に波長スペクトル資源を活用する光ネットワーキング技術を研究しています。
また、近年のネットワークにおけるトラヒック需要の増大に対応するため、1本のファイバの中に複数のコアを持つ、マルチコアファイバの研究開発が進められています。マルチコアファイバを適用したEONでは、光パスの要求に対して、経路や波長スペクトルに加え、コアの割り当てを決定する必要があります。我々は、マルチコアファイバで発生するコア内信号劣化とコア間クロストークの両方を考慮して、光パスへの資源割り当てを行う技術を研究しています。
光信号は伝搬時に様々な信号劣化要因の影響を受けて信号品質が低下します。多種多様な信号劣化要因の影響を抑制するために、受信器でディジタル信号処理を行い信号劣化を補償します。我々は、典型的な信号処理技術では補償できないような信号品質劣化に対して、機械学習を用いて信号劣化の特徴を学習し、信号品質を改善する技術を研究しています。